【グレーな経費】税理士が本音で語る、経費計上の判断基準と対策

いつもありがとうございます。

二代目社長専門税理士
東條です。

 

先日、とある経営者の方から興味深い質問を受けました。

 

 

経営者
この経費、グレーだと思うんですけど、どうしたらいいでしょうか?

 

経営者の皆様なら、
一度どころか、二度三度と考えたことがあるのではないでしょうか。

 

今日は、このグレーゾーンの経費について、
特に「法人」の場合に焦点を当てて、
私なりの考えをお伝えしたいと思います。

(個人事業の場合は、少し取扱いが変わってきますので)

 

 

■グレーの意味は状況によって変わる

 

「グレー」な経費といっても、
誰に対しての「グレー」なのかで、
その意味合いは大きく変わってきます。

 

多くの経営者が最初に考えるのが、

「税務署」

に対してですよね。

 

これは当然です。

やっぱり、税金は少なければ少ないほどいいですから!

 

一方では、

組織としての成長段階にある会社では、
別の視点も重要になってきます。

例えば、社員に対して
グレーな経費を晒してしまうと、どうなるでしょうか?

当たり前ですが、

 

社員
こんなグレーな経費を使うくらいなら、俺らの給与を上げてくれよ!

 

という不満が生まれるのは自然な流れです。

 

 

■グレーな経費への2つのアプローチ

ここで、経営者には2つの選択肢があります。

  1. グレーな経費を可能な限り「ホワイト」に近づけ、支払う税金を適正化する
  2. グレーな経費は排除し、その分を人件費などに振り向ける

 

どちらを選ぶかは、会社のステージと経営方針次第です。

 

会社のステージによって、
経費においても何を大事にするかが変わってきます。

 

 

■グレーとは何か?

税務上のグレーゾーンとは、
事業との関連性が明確でない支出のことを指します。

 

例えば:

1. 交際費関係
・経営者自身の日々の飲食費
・休日の家族との食事
・1人でのランチ代
・打ち合わせ後の飲み会代

2. 自動車関連(プライベートでも使用する車両)
・経営者の車のリース料
・ガソリン代
・駐車場代
・車検代、修理代

3. 通信費関連
・携帯電話料金
・自宅のインターネット回線
・スマホやタブレット端末の通信費

4. 自宅兼事務所の経費
・家賃
・光熱費
・修繕費
・備品購入費
・固定資産税

5. 日用品等
・スーツや靴の購入費
・スマホ、タブレットの購入費
・書籍、雑誌
・健康器具

6. 旅費交通費関係
・タクシー代
・新幹線代
・航空券代
・ホテル代

 

これらは、使い方や状況によって
「事業のため」にも「私的な目的」にもなり得ます。

 

 

■ホワイトかブラックか、その判断基準

僕がお客様にお伝えしているのは、以下の3つの基準です:

1. 事業との関連性
– その支出は、その事業を行っているからこそ生じた経費か?
– 業界の常識として認められる支出か?

2. 金額の妥当性
– 事業規模に見合った金額か?
– 同業他社と比較して過大ではないか?
→実は、ここについては明確な法律上の決まりはありません。
社会通念を超えるような支出の場合は、より綿密な対応が必要です。

3. 証拠の保持
– 領収書等の証憑は適切に保管されているか?
– 取引内容が明確に記録されているか?

 

 

■ホワイトに近づけるための具体的なアプローチ

グレーをホワイトに近づけるためには、
以下のような対応が有効です

1. 明確な社内ルールの策定
– 経費使用に関する基準を文書化
– 申請・承認プロセスの確立

2. 適切な記録の保持
– 経費の使用目的を明確に記録
– 参加者や商談内容のメモ保存
– 写真や議事録の保管

→飲食の場合のレシート・領収書には、
一緒に行った取引先の方の名前や内容など書いておくのは
必須です。

3. 按分計算の実施
– プライベートとの併用は、合理的な基準で按分
– 按分基準の文書化と継続的な運用

 

 

■ブラックと判断すべきケース

逆に、以下のような場合は、はっきりと経費性を否定すべきです:

1. 明らかに私的な支出
– 家族旅行の費用
– 事業と関係のない個人的な趣味の支出
– 贅沢品で事業とは一切関係ないもの

2. 法令違反となる支出
– 贈賄や利益供与
– 脱税を目的とした架空経費

→これは当たり前ですね。

 

 

■「意図的」なのか「見解の相違」なのか

明らかにブラックの経費を計上していると、
どうしても、

 

税務職員
この経営者は意図的にブラックな経費を入れているな

 

と判断されます。

 

一方では、
ひとつの事実に対して、捉え方は人によって異なります。

 

経費に対しても同様、当事者である経営者ご本人と税務職員の間では、
当然「見解」が異なることもあります。

 

「どう考えても意図的だよね」

 

なのか

 

「確かに事業経費という見解もあるよね」

 

では、天と地の差です。

 

 

無対策であれば、前者になりがちです。

 

税務職員
この飲食代の領収書ですが、誰と行かれました?

 

経営者
うーん、たしか・・・あのときだから・・・あーそうそう、うーん・・・

 

こういうのを避けるためにも、
飲食の場合のレシート・領収書には、
必ず一緒に行った取引先の方の
「名前」と「内容」を書いてくださいね。

 

 

■経営者としての心構え

最後に、経営者の皆様に一言。

グレーな経費への対応は、単なる節税対策ではありません。
会社の規律と成長に関わる重要な経営判断なのです。

 

理想は、

「この経費を計上して、堂々と税務調査に臨めるか?」
「社員に胸を張って説明できるか?」
「取引先に開示して信頼を損なわないか?」

これらの問いに「YES」と答えられる経費こそが、
本当の意味での「ホワイト」な経費

 

こう言いたいです!

 

 

けれども、実際は色々な考え方あります。

さすがに、事業性が全くない経費はダメですが、

 

グレーな経費をできる限り「ホワイト」に

 

税金払いたくない気持ち、
僕も分かりますから(笑)

 

 

 

けれども、

 

経営者
今回はグレーだけど、まあいいか

 

は絶対にダメです。

その場合、上記の対策を講じて、
しっかりと説明できるようにしておきましょう。

これらの判断の積み重ねが、
後々大きな問題に発展することもあります。

 

グレーな経費をホワイトに近づけるためには、
確実に手間はかかります。

何も対策せずに、楽して税金を減らせるわけがありません。

そんな甘くないですよ。

 

経営の透明性と持続可能性のために、
適切な経費管理は不可欠なのです。

 

経費の判断に迷った時は、
ぜひこれらの観点から考えてみてください。

そして、判断に迷う場合は、
必ず税理士等の専門家に相談することをお勧めします。

 

 

本日もお読みいただき、ありがとうございました。

東條でした。
それでは、また明日!